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仏壇に欠かせない仏具のひとつに「花立（はなたて）」があります。これは仏様やご先祖様に花を供えるための器で、いわば仏壇の中の花瓶のような存在です。花立は、香炉（こうろ）、火立（ひたて）と並んで「三具足（みつぐそく）」と呼ばれる基本の仏具の一つであり、祈りの空間を整える大切な役割を担っています。

花を供える行為には、命の儚さや尊さを表すという仏教的な意味が込められています。花はやがて枯れていく存在であり、その美しさと移ろいは「無常」の象徴でもあります。また、季節の花を供えることで、日々の感謝や敬意を仏様に伝えることができるのです。

花立にはさまざまな種類があります。素材は真鍮、陶器、アルミ、ガラス、木製など多岐にわたり、仏壇のデザインや宗派に合わせて選ぶことができます。浄土真宗では「華瓶（けびょう）」と呼ばれる専用の花立を用い、色や形にも宗派ごとの決まりがあります。

配置にも決まりがあり、三具足の場合は香炉を中央に、向かって右に花立、左に火立を置くのが一般的です。五具足の場合は花立と火立をそれぞれ一対で左右対称に配置します。

最近では、生花の代わりに「常花（じょうか）」と呼ばれる蓮の造花を飾る家庭も増えており、手入れのしやすさや長持ちする点から人気があります。仏壇のサイズや雰囲気に合わせて、最適な花立を選ぶことで、より心のこもった供養の空間が整います。

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